夭折の天才ガロア。彼の抽象代数学における不朽の功績についてはあまりにも有名なので、本稿においてくわしくは触れない(さらに知りたい方々のために、いちばんさいごに厳選参考文献リストをあげておきます)。
先日フランスを訪れる機会があったので、彼ゆかりの地を巡り、その短くもいたましい生涯について振り返ってみた。
まずは、生誕の地Bourg-la-Reineへ。パリ市内のリュクサンブール駅からRER-B線で約15分。徒歩で簡単に一周できてしまうくらいのちいさな街だ。
市街地の詳細な地図はBourg-la-Reine公式サイトにPDFがあるので、そちらも参考に。
駅の西側に降り立ち、ガロア探索開始。
東に向かって移動。
さらに移動、墓地Cimetiereに到着。
晩秋の小雨の降るなか墓地を後にし、ガロア広場を目指す。
次は、パリ市内に戻って母校めぐり。
高等師範学校を去ったあと、ガロアは早すぎる死を迎えることになるのだが、詳細について知りたい方は以下の文献をどうぞ。
エヴァリスト・ガロア 厳選参考文献リスト
伝記
『数学をつくった人びと』 E.T. ベル
数学者伝記の基本中の基本。ハヤカワ文庫版は三巻組のうち第二巻にガロアが出てきます。これで生涯の全容をつかみましょう。
『天才の栄光と挫折 数学者列伝』 藤原 正彦
ちょっぴり応用編。フジワラ先生が華麗な美文で有名数学者たちの生きざまを描き出してくれます。ガロアに割かれたページ数は多くはありませんが、「天才とは常に単純で、思いこみが激しい」のひとことはけだし名言でしょう。
『アーベルとガロアの森 数学史の歩き方』 山下 純一
激しく応用編。本稿よりさらにつっこんでガロア関係の取材をしている白眉の一冊、おすすめです。
でも、じつはガロア編よりアーベル編 Niels Henrik Abel 1802-1829 のほうがはるかにおもしろい。とくに真冬のノルウェーで遭難寸前になっちゃうところとか。
北欧旅行は季節を選んだほうがよいのでは。
The MacTutor History of Mathematics archive
古今の数学者について、情報を網羅的に収集したウェブサイト。
肖像画や写真によるPosterがあるところが独特。ガロアのものはここからみることができます。
また、数学版・今日はなんの日? も楽しい。
研究内容
物理のかぎしっぽ
「代数学」のページで、ガロアがつくりだした群論について詳細に扱っています。
おそらく、ウェブサイトのなかではわかりやすさと詳しさがいちばんなのではないでしょうか。
『代数方程式とガロア理論』中島 匠一
タイトルどおり、ガロア理論についての専門書です。
とても楽しく、とっつきやすい文体が魅力。「標語:群を見たらガロア群と思え」や「どんな分離拡大もガロア理論でとらえられる、これをガロア原理主義と呼ぶ」「以上、四つの性質すべてを兼ね備えた存在がガロア拡大だ、という悟りの境地に達する」など個性的な表現が満載の、笑える数学専門書というまれな存在。
だがもちろん、内容はけっして初歩的ではないので心してかかりましょう。
同著者による『代数と群論の基礎』もおすすめ、中島節大炸裂の良書です。
「いかにも群だという群、とはなんなのか悩んで旅に出たりしないように」、だそうです。はい、そんな理由で家出したりはしません。
『なぜこの方程式は解けないか? 天才数学者が見出した「シンメトリー」の秘密』マリオ・リヴィオ
専門書はつらいや、という方はこちらをどうぞ。
群論について豊富な例をあげ、比喩的かつ視覚的に説明してくれます。
作成日:2010/03/29 最終更新日:2018/08/14
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