哺乳類
意外なようだが、生命史における哺乳類の出現時期は早い。2億以上前までさかのぼることができる。
じつは、恐竜の登場とたいして変わらない。
哺乳類はじめ脊椎動物は、もっともかたい部分である歯が圧倒的に化石として残りやすい。化石哺乳類研究とは歯と歯が交配して歯を産む物語の追跡だ、という笑えないジョークがあるほどである。
Desmostylus hesperus (デスモスチルス・臼歯 その1)
Desmostylus hesperus (デスモスチルス・臼歯 その2)
Merycoidodon sp.(ウマの祖先・下顎骨)
Proterotherium sp.(ウマの祖先・下顎骨)
サメの歯
哺乳類であるわれわれからするとうらやましいかぎりだが、サメの歯には生涯生え変わり続ける、という特徴がある。
口のなかには何列もの予備の歯があり、ある種のサメは生涯に約3万本以上もの歯を使い捨てる。
サメの歯の化石がみつかりやすいのも納得だ。
サメの歯
虫入り琥珀(コハク)
琥珀とは、樹木の分泌する樹脂が化石になったもの。当時の虫が樹脂に捕らえられ、生きていたときそのままの姿で琥珀中に保存されていることがある。
比較的新しく、化石化していない樹脂はコーパルとよばれ、区別される。
アリ
多足類
アンモナイト
白亜紀末に絶滅し、化石のみで知られる頭足類(タコやイカ)のなかま。もっとも、絶滅するまで三億年以上、広い海域で繁栄を誇っていたという非常に成功したグループだ。
巻いた殻のなかに隔壁で仕切られた気房をもち、浮力を調節していたと考えられている。
殻の表面をすこし削ると、隔壁と殻の境界部分である縫合線が現れる。複雑な模様を描いていることが多く、分類上の大事な指標とされる。
頭足類についての説明は
コラム「頭足類とは――まさしく海の霊長類」を参照。
部分化石 Baculites sp.
Muramotoceras yezoense
Cadoceras sp.
部分化石 Lamberticeras lamberti
Damesites damesi
ウミツボミ
古生代末に絶滅した棘皮動物のなかま。
ウニ、ヒトデなどほかの棘皮動物と同様、本体は炭酸カルシウムでできた可変の板で体が覆われている。本体からは円盤が多数つみかさなったかたちの茎が伸び、海底に固着する。この形態はウミユリにとてもよくにている。
ウミツボミを含む棘皮動物一般については、
CTでみる棘皮動物の世界 と
コラム「棘皮動物とは――海中の五角形なやつら」 を参照。
Schizoblastus sp.
Pentremites sp.
星砂(底生有孔虫のなかま)
沖縄などのみやげものとして有名なこの星砂、実はふつうの砂ではない。生物起源、くわしくいうと底生有孔虫の一種
Baculogypsina sphaerulata の遺骸だ。
有孔虫としては大きいほうで肉眼でもじゅうぶんにみえること、およびかたちの美しさから、観賞用になるのも納得。
有孔虫の説明については、底生有孔虫の項を参照。
Baculogypsina sphaerulata その1
Baculogypsina sphaerulata その2
底生有孔虫
有孔虫は単細胞生物で、炭酸カルシウム(貝殻と同じ)の殻で覆われており、死後もこの殻の部分は長く残る。過去の環境を推定するときに重要な、微化石の一種。
底生有孔虫は、有孔虫のなかでもその名のとおり底生生活を送るもの。
Cycloclypeus carpenteri
Uvigerina akitaensis
Calcarina sp.
浮遊性有孔虫
浮遊性有孔虫は、有孔虫のうち浮遊生活を送るもの。
殻の部分は微化石として大量に見つかる。岩石ができた年代や過去の環境を推定したいときに重宝する。
有孔虫の説明については、底生有孔虫の項を参照。
Globigerina bulloides
Globigerina quinqueloba
Hirsutellla margaritae
Globigerinella aequilateralis
Globigerinoides sacculifer
Globoquadrina conglomerata
Menardella menardii
Globigerinoides fistulosus
Fohsella lobata
放散虫
主に非晶質の二酸化珪素(ガラス)でできた骨格を持つ浮遊性単細胞生物の一グループ。
古生代カンブリア紀から現代にわたり生息し続けている、非常に古い生物群だ。
骨格は微化石として広範囲で産出し、岩石ができた年代や過去の環境を推定するときに利用される。
Spumellaria
Lychnocanoma sp.
Theocotylissa fimbria
介形虫(貝形虫)
体長は数mm以下だが、実は甲殻類(エビやカニ)のなかま。炭酸カルシウム(貝殻と同じ)でできた2枚の殻をもち、その間から付属肢や触角を出して泳いたり歩いたりする。生息域は広く、海水だけでなく淡水にもすんでいる。
殻はやはり微化石となり、当時の環境の推定に役立つ。
Hanaicythere sp.
Bairdioidea sp.
Robustaurila ishizakii
Cythere omotenipponica
Neonesidea sp.