X線CTスキャン解説

3. CT再構成ー断面画像を得る方法

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再構成とは

CTスキャンで得られた全方向からのX線透過画像を解析し、物体の断面画像を得ることを、再構成といいます。再構成の方法には、フィルタ補正逆投影法(FBP)、重畳積分法(CBP)、逐次再構成法などがあります。
以下では、一番広く使われている重畳積分法にかんして説明します。

再構成手順

すべての透過画像に対し:

  • X線透過画像からX線吸収量を求める
  • ノイズ除去等の補正処理
  • 再構成フィルタによる処理
  • 逆投影(backprojection)

を順におこないます。

X線吸収量の計算

物質を透過した後のX線量と透過する前のX線量の比から、X線の吸収量を求めます。
計算のためには、撮影対象が映っていない透過画像(空気を撮影した画像)とX線が照射されていないときの透過画像(暗電流画像)が必要です。
また、X線検出器のひとつひとつの検出素子には、しばしば検出感度にばらつきがあります。吸収量を求める過程で、感度補正も同時に行えます。
何らかの原因により感度補正が不適切になると、後述するリングアーチファクトが発生します。

補正処理

ノイズ除去

X線透過画像には、しばしばノイズが含まれています。
メディアン、ガウスフィルタなどにより、ノイズを除去します。

ビームハードニング補正

後述するビームハードニングによるアーチファクトを抑制するため、X線吸収量を補正します。

その他

X線量の変動、試料回転ステージの芯ブレ、X線焦点位置の変動、リングアーチファクト、メタルアーチファクト、などに対処するため、必要に応じてさまざまな補正を行います。

再構成フィルタ

逆投影をおこなう前に、再構成フィルタを掛けます。再構成フィルタには、Ram-Lak、Shepp & Loganフィルタなどがあります。再構成フィルタでは重畳積分を行うため、コンボリューションフィルタとも呼ばれます。
以下の図では、感度補正後透過画像のある面に対し、再構成フィルタを掛けています。

再構成フィルタ

逆投影

X線撮影をした方向とは逆方向に、撮影データを投影します。
下図は、ある一断面に対する逆投影です。

逆投影

すべての断面にかんして逆投影をおこなうと、再構成の完了です。

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