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頭足類とは――まさしく海の霊長類

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頭足類の進化

頭足類とは、魚屋さんでおなじみのタコとイカ、それに化石としても有名なアンモナイト、べレムナイト、それに最近はペットショップでもちらほらと見かけるようになったオウムガイなどを含むグループをさす。
アンモナイトやオウムガイには立派な殻があるけれど、これは頭足類がじつは貝と近縁であることを示している。

頭足類の進化
頭足類の進化の流れを系統樹として描いてみた。
オウムガイのなかまがもっとも早く出現した。約五億年前、古生代カンブリア紀のこと。
そののちアンモナイト類、そしてイカ類、タコ類があいついであらわれる。
いずれのグループも出現は約四億年ちょっと前、古生代シルル紀だ。
みんな由緒正しい古い血統の持ち主なのである。

頭足類の特長
頭足類の最大公約数的特長をあつめて描いてみたのが、上の図。
すぐれた視力と自在にうごく脚、高い知能により、迷路学習や図形認識実験もお手のもの。
惜しむらくは短命なことで、寿命はせいぜい数年といったところ。
もしも長寿だったらそうとうの知性が期待できたんだろうなあ。

★この記事の続編を外部サイトに書きました。タコ目についてのくわしい解説をゆるかわいい画像まんさいでお届けしています。
ダンボオクトパスとは?『架空論文投稿計画』表紙の深海生物

もっと頭足類を知りたいひとのために

書籍

頭足類についてくわしく書かれた一般むけの本はすごく少ない。以下でほとんどぜんぶといっていいかも。

  • タコは、なぜ元気なのか タコの生態と民俗
    泳ぐ貝、タコの愛
    イカはしゃべるし、空も飛ぶ
    著者の奥谷喬司氏は日本における軟体動物研究のえらいひと。
    「タコの体の設計は鼻行類にもまさる奇抜さを誇る。なにせ胴の下に頭があり、そのすぐ下に足があるのだ」とは、かれらを長年みつめてきた研究者だからこそ出てくる言い回しだ、と思う。
    そして挿絵も達者、プロはだし。かつ研究対象への愛がほのぼのと、いやひしひしと伝わってくるタッチだ。とくに目とか、えんぺらのあたりとか。
    これらの本を読了したあとは、スーパーの鮮魚売り場に行くのが楽しくなることうけあい。
  • 海の道化師たち』アキームシキン
    こちらはロシアから。イカとタコ全般について知りたければ本書が決定版といえるだろう。古い本だが、情報量が多くよくできている。
    ちなみに原題は「海の霊長類」、詩的でしかも的を射ている表現だ。
    口絵にあるコウイカの求愛行動の写真が感動的。
    西洋でタコが悪魔のごとく嫌われているおおもとは、ヴィクトル・ユゴー「海の労働者」Les Travailleurs de la Mer なのだ、という豆知識も得られる。
  • 蛸 想像の世界を支配する論理をさぐる』ロジェ・カイヨワ 塚崎幹夫訳
    社会学者、哲学者であるカイヨワがなぜタコなんかをテーマに、と疑問に思うむきもあるだろうが、なかなかどうして調査がゆきとどいている。
    だが本書の白眉は本文よりむしろ、訳者による巻末スペシャル・カイヨワ全著作の抜粋集だ。これだけ読んでおけば原書にあたらなくてすむかも。

ウェブサイト

  • 古生物の部屋
    管理人のロバート・ジェンキンズ氏は本職の古生物学者。イギリス人とのハーフで、日本うまれなので日本語が堪能です。
    このサイトはアンモナイトとオウムガイについての情報が豊富。とくにオウムガイなんて解剖までやっちゃってます。とにかく一見の価値あり。
  • みちのくはアンモナイトの宝庫 企画展 東北大学総合学術博物館のすべてⅩ
    2009年10月におこなわれたアンモナイト企画展のまとめ。
    館長の永広昌之氏は日本有数のアンモナイト研究者ということもあって、さすがに気合がはいったつくり。くわしすぎてほとんどセミプロむけ
    追記:永広氏は2010年3月末日をもって定年退職されました。

水族館

  • 志摩マリンランド
    三重県のはしっこにある地味な水族館だが、なかなか個性的でおもしろいところ。
    とくに不思議なのが 古代水族館 といういっぷう変わった展示をしていること。
    アンモナイトの化石にもさわれる。水族館なのに。
    水槽のなかをゆっくり泳ぐ五頭のオウムガイたちにはいやされる。
    なんとオウムガイ、そしてミズダコの繁殖にも成功している。
    運がよければ卵を抱いているタコのおかあさんに会えるかもしれない。

動画

作成日:2009/12/8 最終更新日:2018/08/14

 

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