シリーズやってみた企画2 フランスパンをCTスキャンして気泡をみる

フランスパン CTスキャン


 結果編: フランスパンの気泡の分布が、ついにあきらかに

さて、お待たせしました。
CTスキャンによって得られたパンの断面を、画像や動画にして、以下に公開。
気泡のようすをくらべてみてください。
*画像またはパンの名前をクリックすると動画がはじまります。
動画作成には Molcer Plus を用いています。

フランスパン気泡のCTスキャン結果:アール・ドゥ・パン 先端
アール・ドゥ・パン バゲット・カンパーニュ
(先端部分)
フランスパン気泡のCTスキャン結果:アール・ドゥ・パン 中央
アール・ドゥ・パン バゲット・カンパーニュ
(中央部分)
フランスパン気泡のCTスキャン結果:プルミエ・サンジェルマン 先端
ルミエ・サンジェルマン バタール
(先端部分)
フランスパン気泡のCTスキャン結果:プルミエ・サンジェルマン 中央
ルミエ・サンジェルマン バタール
(中央部分)
フランスパン気泡のCTスキャン結果:ヤマザキパン 先端
ヤマザキパン 食べきりサイズフランスパン
(先端部分)
フランスパン気泡のCTスキャン結果:ヤマザキパン 中央
ヤマザキパン 食べきりサイズフランスパン
(中央部分)

追記:
以上の結果について、専門家からコメントをいただきました。
東北大学の奥村 聡先生(リンク切れ)は、マグマ中の気泡を専門に研究されているかたです。
本件の仲介は、同大学理学研究科の野崎壮一郎さんです。

特別寄稿――東北大学大学院理学研究科地学専攻 島弧・マグマ学グループ 助教 奥村 聡 博士

火山噴火とは、地球内部で作られたマグマが地表へ噴出するダイナミックな現象です。
マグマが地表へ上昇するための駆動力がマグマの発泡です。
マグマには水や二酸化炭素などが含まれているため、それらがマグマ中の気泡として析出することが、マグマの発泡です。
たとえるならば、炭酸飲料中に二酸化炭素の気泡が形成するようなものです。

研究者はマグマ中に形成された気泡の組織を分析することで、マグマがどのようにして、どのくらいの速度で地表へ噴出したのかを調べます。
このようなことを調べることで、火山噴火のメカニズムをあきらかにして、噴火予測へとつなげるためです。

気泡の組織で注目されるのが、気泡のサイズ分布です。
サイズ分布とは
「気泡の大きさ」と「その大きさの気泡の数」の関係を表したもので、
気泡のでき方などによって変わってきます。
たとえば、おおざっぱに言えば、マグマが速い速度で上昇すると、小さな気泡がたくさんできます。
一方で、ゆっくり上昇すると、大きな気泡ができます。
また、大量の気泡が形成されると、気泡どうしは連結・合体を起こします。
気泡のサイズ以外にも、気泡の形状なども、上昇速度などを制約するために利用されます。

CTスキャンで撮影された画像から、パンの中の気泡もさまざまなサイズを持っていることがわかります。
同サイズ程度の気泡を持つものから、非常に大きな単一気泡とそれよりも小さい多数の気泡から成るものなどさまざまです。
このようなサイズ分布のちがいは、生成方法に依存するでしょうから、もしサイズ分布が「パンの味」と関係するならば、生成方法は重要となってきます。
わたし個人としては、単一の大きな気泡が含まれるよりも適度なサイズの気泡を含むほうがおいしいような気がしますが、それは食べ比べてみてからのお楽しみでしょう。

結論: おいしいパンは、気泡から。